2.金融機関の不良債権の実質的処理、経営健全化等

2.金融機関の不良債権の実質的処理、経営健全化等

(1)金融機関の不良債権の実質的処理
 金融機関の不良債権問題の実質的処理のためには、金融機関経営に対して市場規律を徹底することにより、不良債権処理のため取組みを促進することが重要である。そのため、米国証券取引委員会(SEC)と同等の、より強化された基準により不良債権のディスクロージャーを徹底するとともに、本年4月に導入された早期是正措置において、公認会計士の関与の下で、金融機関の資産の自己査定に基づく適正な償却・引当を進め、さらに、これを銀行検査等により厳正にチェックすることとしている。これらの措置と、バルクセール、共同債権買取機構への売却等の債権流動化とが相まって、不良債権をバランスシートから落とすなど、その実質的処理を推進する。こうした観点から、6月22日に発足した金融監督庁は、緊急的対応として、主要19行に対し、集中的に検査を行う。

(2)金融機関の経営健全化
 金融機関においては、リストラの徹底と責任ある経営体制の整備が求められており、金融機関のリストラ状況その他経営内容の実態について、一層の情報開示を促進することにより、市場規律の下で、各金融機関のリストラを促していく。また、本年3月に資本注入が行われた銀行については、「経営の健全性の確保のための計画」の履行状況を預金保険機構の金融危機管理審査委員会よりできる限り早くこれを公表することとする。

(3)いわゆる「受皿銀行構想(ブリッジバンク構想)」について
 金融機関がその不良債権のディスクロージャーを徹底し、適切な償却・引当を進め、バランスシートからの抹消等の実質的処理を進めていく場合、経営困難に陥る金融機関が出てくることも懸念される。この場合、前回の預金保険法改正により、預金者保護のため整理回収銀行が受け皿になりうる措置が講ぜられたので、民間の受皿銀行が見出せなくとも、預金者保護には支障がないが、一方、健全でありながら新たな取引銀行を見出せない借り手に対する更なる適切な配慮が必要となる。このような配慮を行いつつ、破綻処理の一層の円滑化を図り、内外の信認を得られるような金融システム再生の道と健全な借り手保護を両立させる方途を検討することが重要である。このため、いわゆる「受皿銀行構想(ブリッジバンク構想)」について、負担や資金調達の問題及び借り手のモラルハザードの問題等も踏まえ、十分な検討を行い、7月のできる限り早い時期に具体的内容を明確にする。